「な、なんと言う追っ払い方(お ぱら かた)れすか…」
「やっつけた!」
まるで、空き巣に入られた父親が、木製のバットを振り回して空き巣を追い出し、その後、酒のつまみに夜な夜な武勇伝を語るときの表情に近いであろうドヤ顔で、ちえりはぱれっとに言った。
「と、とりあえず、結果オーライれす…」
クロコは走って逃げて、いずこへと消えてしまった。
そこではっと、ちえりは気付く。
「ぬいぐるみ。ちえり、学校だから、終わったら遊ぼうよ」
「わかりますた! そしたらあそこの公園で待ってるでつ!」
ちえりはぱれっとの指示で胸元の球を外す。するとちえりの体が淡く光り、瞬時にコスチュームからさっきまで着ていた私服に切り替わった。
そしてちえりは、ぱれっとにバイバイ、と手を振ると駆け出した。狭い路地裏から、元来た広い通学路に出て、左に曲がると学校めがけて、そのまま走り出す。
学校に着くと、ちえりはあくまで控えめにガラガラガラと教室の前の扉を引いた。
教室が閉めきっていた理由は、やっとこの夏から教室に冷房が完備されたためだ。節電とのにらめっこな状況でもあるが、それで熱中症になっては本末転倒だ。
「で、ちえりちゃん、お帰りなさい」
担任の佐藤塩太郎は、ちえりを教室に迎え入れた。
一時間目の授業は、すでに始まっていた。
「ちえりちゃん、家に帰ってもランドセルなくてびっくりしたんでしょ」
先生は、ちえりの耳元でニヤリとしながら言った。
「あ! おうち帰るの忘れてた!」
「なに――!」
先生は思わずのけぞって、その場でぶっ倒れた。
「あんた、じゃあ、何しに外行った!?」
思わず、つぐみが席から立ち上がってつっこむ。
そこでちえりは、自分の机の上に置いてあるランドセルに気づいた。
「あの、ランドセルここにあったから!」
こいつ、とっさの小嘘をつきやがった。あはは、もう、笑おう。
「なに、あんた忘れすぎの域を超えてもはや芸術だわ! 連鎖反応って言うか、反射神経で生きてるわけ?」
「うん!」
うんって。じゃあ、連鎖反応って言うか、反射神経で生きてるんだ―。なーんだ、だったらしょうがないよね。羽田(はた)つぐみも、その場にグッタリと、力なく倒れこんだ。
何度も繰り返すが、この物語は、世界を暗黒にさせまいとする、少女たちの物語と言うか、そんな感じで、トラブルメーカーのちえりを中心に問題を乗り越えるたびに、周りの人間が成長すると言う話だったような、そうじゃないような。
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